手術室看護師のオペ看記

今更聞けないこと、気になった事を調べてみる。あと雑記。ダイエットの事。

DC・体外ペーシングつけて腹臥位・脊椎の手術

先日、Ⅱ度房室ブロック持ちの脊椎手術を受ける患者の担当になった。

麻酔科診察のコメントにこんなこと書いてある。

「体外ペーシングを装着するかどうかは担当麻酔科医と相談」

なるほど、わからん。

 

考えたことと実際のことをメモ書き程度に書き残しておく。

絵とか図で残したいけど絵心なさ過ぎて断念。

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目次

 

 房室ブロック・・・

房室ブロックは心房から心室に興奮刺激が伝わらない状態。つまり、房室接合部の異常。

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房室接合部

 房室結節とHis束を合わせた部位。

心房と心室は電気的に遮断されており、正常ならば心房からの興奮刺激は必ず房室結節部を通り、心室に伝わることになる。

 

房室ブロックの判読ポイント

ポイントは「障害されているのは心電図学的にいう房室結合部である」ということ。

 

Ⅰ度房室ブロック

つながりは悪いが必ずつながるもの。

①P-Q時間が0.20秒以上の延長を認める=興奮刺激の伝導が遅延している

②QRSの脱落はない=遅延はあるが心室に伝達される。

 

Ⅱ度房室ブロック(Wenckebach型=ウェンケバッハ型)

 時々つながらなくなるもの。

①徐々にP-Q時間が延長する。

②ついにはQRS波が脱落する。

 

Ⅱ度房室ブロック(MobitzⅡ型=モビッツⅡ型)

これ以降は致死的不整脈に移行しやすく危険とされる。要治療。

①P-Q時間に変化はない

②突然QRSが脱落する。

 

 Ⅲ度房室ブロック

 全くつながらないもの。

房室結節部の刺激伝導が完全に遮断された状態。

房室結節部や心室がそれぞれの自動能により興奮し収縮する。タイミングが合わないので効率的な送血ができなくなる。 

 

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 原因と治療

心筋梗塞や冠動脈疾患などの心疾患、β遮断薬などの薬剤使用、高カリウム血症、迷走神経亢進状態などが原因となる。

 

Ⅰ度房室ブロック、Ⅱ度房室ブロック(ウェンケバッハ型)は治療を必要としないとされている。高カリウム血症やβ遮断薬などの明らかに原因があればその治療を行う。

 

Ⅱ度房室ブロック(モビッツⅡ型)、Ⅲ度房室ブロックにはペースメーカーの植込みが検討される。

 

 

今回の症例は・・・

今回の患者はⅡ度房室ブロック(ウェンケバッハ型)とされており、症状もないことから治療は不要と循環器内科から言われていた。

 

しかし、前日の麻酔科診察で失神エピソードがある?というわけで怪しい、体外ペーシング装備しとくか、となったようだ。循環器内科受診はなんだったのか。

 

当日の対応

当日は心臓外科手術があったので、手術室のDCは持ってこれない。臨床工学技士さんにどっかから借りてきてもらった。

麻酔導入前に欲しかったので急ぎ目でお願いした。

DCパッドを貼ったら閾値チェックで試しに体外ペーシングしてみないといけないが、それなりに痛いらしいので麻酔導入後にするものらしい。

DCパッドを貼れば心電図は拾ってくれるので、DCの3点誘導は貼らなくてもいいといわれたが、結局貼ってた。

 

問題点①

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※脊椎手術用の腹臥位枕 ラジオルーセントスパインテーブル

まずひとつめの問題。手術が腹臥位であるという事。体外ペーシングするのにパッドを貼らなければならないが、貼る位置に4点フレームがモロ被りである。以前、それが原因で術後褥瘡になった症例があるらしい。

というかあのパッド、粘着力半端なく、剥離剤使わずに剥がすと表皮も持ってかれる。過去に表皮剥離経験あり。

 

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オレンジがDCパッドの位置、水色が4点フレームで圧迫を受ける位置。

右前胸部でパッドが下敷きになる。過去に褥瘡になったのもここ。

 

麻酔科と相談し、心臓を挟むように右側胸部と左側胸部に貼ることにした。

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ここならば下敷きにならないし、術野にも被らない。

 

問題点②

 DCパッドを低位置とは異なる部位に貼っているので、体外ペーシングに乗るかわからないと臨工さん。

麻酔導入後、100mAからペーシング開始。やはり乗ったり乗らなかったりで、安定するのは130mA?単位違うかも。

それだけ出力上げると体もビクンビクン動く。そんな動いたら手術できないな、ぐらいに。

だから、もし高度徐脈になったり、循環保てなくなったら手術中断してペーシングするしかないという判断に。最悪手術中でも断念して仰臥位に戻す可能性も出てきた。

一応、すぐ仰臥位に戻れるようにストレッチャーを室内待機しておいた。

 

無事終了

 モニター上、思ったよりもQRSが飛んでたけど術中は循環も安定しており、ペーシングすることなく手術は終わった。

麻酔覚醒時が最も徐脈が出やすいと麻酔科は言い、その通りにQRSが飛びまくっていた。念のため覚醒後もDCパッドつけたまま回復室へ移動した。

 

振り返り

結果、何もなくてよかった。

体外ペーシングはじめてだったけど、あんなに動くと思わなかった。貼る位置が適正位置ならもっと出力弱くてもいけるんだろうけど。

 

何かあってからでは遅い。手術室は準備が命と改めて痛感した。

 

心電図というか、そっち系の知識なさ過ぎて怖い。

今年心電図検定受ける。勉強する。2021年1月目掛けて勉強する。

受験会場、福岡か東京の二択しかないけど。東京コロナ怖い。福岡も修羅の国怖い。

 

以上。