手術室看護師のオペ看記

今更聞けないこと、気になった事を調べてみる。あと雑記。ダイエットの事。

手術室における体温管理③ シバリングとその弊害


今回はシバリングについて。

シバリング・・・いわゆる、寒いときにブルブルっと震えるアレである。

シバリングは、骨格筋の収縮による熱産生で体温の回復を図る反応で、安静時の6倍まで熱産生を増やすとされる。

 別に普段起こることに関してはなんの問題もない。手術後に起こることが問題である。

 

何が問題か。

 

1.酸素消費量が増える。

 →熱産生を増やすということは酸素を消費するということ。震えの程度にもよるが、2~8倍に増えるとされる。ここまで増えると、場合によっては低酸素状態となる。結果、組織に酸素が行きにくくなるわけなので心筋虚血・梗塞、脳梗塞等の発生確率があがる。

 

2.二酸化炭素がたまる。

 →酸素消費量が増えるということは二酸化酸素を産生することになる。二酸化炭素の増加は意識レベルに影響する。いわゆるCO2ナルコーシス。術後患者をICUに移送後、シバリング発生、徐々に意識レベル低下からの呼吸停止・・・というのにあたったことがある。即、挿管、換気してすぐに意識は戻ったけれど。ICUでよかった。正直、シバリングを舐めていた。

 

3.震えるということは力が入っている

 →頭蓋内圧や眼圧、腹腔や胸腔内圧が上がる。これらの部位の術後だった場合、後出血等のリスクがあがる。あと、震える・力が入る=創部痛の原因になる。創離開リスクにもなる。

 

繰り返しになるが、シバリングは体温が下がった時に、体温調節中枢が目標とする温度(セットポイントと呼ばれる)まで体温を上げようとする反応である。しかし、体温低下時のみシバリングが起こるわけではない。手術侵襲によってあるホルモンが放出され、体温調節中枢に働きセットポイントを上昇させる。するとどうなるか。

仮に今、中枢温が37.0℃だとする。侵襲によりセットポイントが39.0℃に設定されたとすると、そこに向かって体温を上げようとするので、中枢温は37.0℃=正常でもシバリングが発生することとなる。手術時間の長さや侵襲の大きさによりセットポイントは上昇する。

 

低体温にはとにかく保温・加温だが、このセットポイントの上昇については悩まされることが多い。というのも、セットポイントといっても何度なのかは全くわからないからだ。とにかく中枢温37.0℃を目標に体温管理を行い、その辺りで終了しても手術終了後シバリングを起こすことは多々ある。侵襲の大きい手術や長時間手術はもっと体温を高めに管理したほうがいいのか。上げた結果、患者覚醒後にすごい暑がったり発汗凄かったり。それも困る。イマイチ理解できていない。要学習。以上。