学生時の看護実習において、一つの壁があった。急性期実習である。
いや、実習は全部壁にしか思えなかったけど、特に急性期実習はとにかく前情報がヤバく、怯えていた。とにかくはやく終わってほしい、それに尽きる。
急性期・・・いわゆる手術を受ける患者を受け持つ実習なわけで、学生なんかがロクに観察・アセスメントできるわけもなく、先生や実習指導者にけちょんけちょんにされるのだ。この実習が終わった後は何かひと皮剥けたみたいになって、後の実習が楽になった気がする。
学内の演習・看護展開なんかでも、循環についてアセスメントする上でよく目にしたあの単語。「サードスペース」。参考書をパラパラ見てたら久しぶりに目にしたから振り返ってみる。
サードスペース・・・細胞内でも血管内でもない場所。
じゃあどこなんだよと。細胞内をファースト、血管内をセカンド、そのどちらでもないのがサードとういうことらしい。野球か。
要するに、侵襲・炎症・ストレスによって血管透過性が高まることで、血管の隙間から水が血管外に漏れ出てしまう。血管外の細胞内へ入るわけではない。血管内にも細胞内でもないから何の利用もできない価値のない水分となる。お荷物である。
何が問題になるか。血管内の水が抜けるということは血液が減るようなもの。循環血液量の減少。低血圧を引き起こす。
このサードスペースの水は半日~1週間程度で血管内に戻っていく。単純に水をがぶ飲みした状態になるようなもので、尿量が増える利尿期となる。
普通の点滴(細胞外液)をしたところで、血管内に残るのは1/4程度で、残りの2/3は血管外に出て行ってしまうんだと。手術中は術中出血の3倍程度の輸液をしましょう、となってるそうだ。もちろん出血の程度や侵襲、点滴内容によるが。あと患者の基礎疾患。
でも大体、輸液を絞らないかんヤツ以外はじゃんじゃん輸液落としてる気がする。出血の3倍どころじゃなさそう。術前の絶水で脱水状態になってるのもあるだろうけど。
初めて手術室入った時、ほぼ点滴全開でびっくりしたなあ。病棟で全開なんてそうそう見ないもの。心負荷とは何だったのか。
以上。